出版業界の産業としての在り方

 書店の息子として得られる微々たる見識から出版業界について論じる。

 出版業界は製品を作る作家、出版社とそれを販売する書店とがぶつ切りになってしまっているのが現状ではないだろうか。いや。この状態は他の業界でも然りである。例えば、農業然り。電機産業然り。ただ、これを変革する必要があるのではないか。

 これに成功しているのがユニクロである。ユニクロは、多くの地域に店舗を持ちマーケティングを行うだけでなく、それを製造や開発へフィードバックすることで付加価値をつけることに成功していると伊藤元重(2015)は指摘している。出版業界も販売現場で得られた顧客ニーズを集約し、製造現場、つまり作家や出版社の編集担当にフィードバックする仕組みを構築しなければならない。之が私見である。それが、どういう形になるかはわからない。大手チェーン書店が情報集約した結果を報告するのか、取次がマーケティングを行うのか、書店も巻き込んだ編集会議を行うのか。いずれにしても、製品の価値を高め、市場を拡大する(読書人口を増やす、購買意欲を高める)工夫は検討しなければならない。